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ブログ2024年10月15日
『 神田川 』の想い出。
昔勤めていた会社の先輩に「伏木田さん」という40半ばくらいの独身男性がいた。
「伏木田」は「ふしきだ」と読む。
名は体を表すと言うが、伏木田さんは不思議な人だった。
ある日、最年少の後輩「佐藤」が伏木田さんに
「伏木田さんって彼女いるんすか?」と尋ねた。
無邪気に言えば何でも許されると思っている佐藤の発言で、その場は凍り付いた。
『いるはずねーだろ!!空気読め!!!』(心の声)
「いるよー。」と伏木田さんは答えた。
『え、いるの?!』(心の声)
失礼ながら、その場にいた全員そう思ったに違いない。
なぜなら今まで一度も伏木田さんから女性の話を聞いたことがなかったから。
『最近できた彼女さんなのかな?』
『40半ばでも出会いはあるものなのか・・・。』等としみじみ思っていたら
「どんな人か気になるな~!今度2ショット写真持ってきて下さいよ♪」
佐藤の発言である。
佐藤、お前はいいかげんにしとけ・・・
「いいよー。」と伏木田さんは答えた。
『え、いいの?!』(心の声)
その日から毎日佐藤の「写真まだですか」催促が始まった。
伏木田さんは「忘れちゃったー。」「彼女が写真撮られるの嫌がっててー。」等と言ってやりすごそうとしていたが、佐藤はしつこかった。
そして、1週間後ついに伏木田さんは写真を持って出勤した。
それは、2ショット写真ではなかった。
というか、中学時代の修学旅行の集合写真であった。
「これが私で、こっちが彼女だよー。」
伏木田さんは写真の右端と左端を指さした。
「・・・・・・。」
さすがに佐藤も何も言わなかった。
こうして 伏木田さんの彼女騒動は幕を閉じた。
この後なぜか「彼女います」アピールが激しくなった伏木田さんであったが、
誰もが関心を示さなかった為、それも徐々になくなっていった。
伏木田さんは南こうせつに似ていた。
南こうせつから養分を半分くらい吸い取り、真っ黒なスーツを着せたのが伏木田さんである。
なので、テレビの名曲特集とかで『 神田川 』が流れると
伏木田さんを思い出す。
私にとって『 神田川 』はそんな想い出の曲なのだ。
木村